静岡県の南伊豆町子浦に誕生した『JU-ZA CYCLE YADO Minamiizu』は、サイクリストにフォーカスした休憩・宿泊施設。町の風土と歴史を見つめ、地域の人々にも喜ばれるスポットをつくり上げた建築家の水間寿明さんに話を聞いた。
この建築家に『JU-ZA』がある南伊豆町の子浦地区は、自然豊かな山と美しい海を有する静かな漁師町。水間さんたちは『JU-ZA』の存在によって外部からの来訪者を増やし、地域の産業活性につなげることを目指している
南の外観。樹齢57年の大きなサボテンの木が『JU-ZA』の目印。水間さんは外観もできるだけ面影を残し、南伊豆町の町並みに溶け込むファサードに仕上げた。『JU-ZA』の名は、ここがさかくら荘という民宿だったときの屋号『重田(じゅうざ)』からとっている
南に大きく開いたエントランス。広いウッドデッキテラスと土間仕上げのサイクルピットの一体感が高く、のびやかな開放感がある
外観夕景。『JU-ZA』は1階が宿泊者やちょっと休憩したい人が使えるサイクルピット、ダイニング、水まわり。2階には宿泊者のための客室がある
1階エントランスを兼ねたサイクルピット。天井は構造材が見える現し仕上げで高さを出し、床は細いレンガタイルに張り替えた。タイルは目地幅を少し広く取って味のある印象に。自転車の保管やメンテナンスができるスペースだが、サイクリストたちの憩いの場としても大活躍
1階サイクルピットからダイニング方向を見る。もとは和室だったところを土間にして、サイクルピットに。水間さんは構造的に外せない柱を活用し、低いテーブルを造作(写真左手前)。その奥にはソファもつくり、サイクリストたちがゆったりと過ごせるようにしている
1階サイクルピット。土間仕上げのサイクルピットはウッドデッキテラス(写真右奥)とひと続き。自転車の出し入れがしやすく、サイクリストたちが気軽に立ち寄れる
1階ダイニング。キッチンがあった場所の壁を外して広くし、サイクリストたちが持ち込んだ食事などを一緒に楽しめる空間に。床は調湿性、防臭性にすぐれたサイザル麻。一枚板の贅沢なテーブルは地元の職人さんの手づくり。四角いフレームの照明はテーブルに合わせてデザインした
ダイニングからサイクルピットを見る。ダイニングとサイクルピットの間には階段があり、2階の客室へと続く
撮影:髙橋菜生(Nao Takahashi)