「秘密基地のような家」がテーマのN邸。中心に尖った屋根を擁する個性的な外観もインパクトがあるが、屋根の下にはなんと「大きな木」があるという。設計した井上孝紀さんは、その木の下に家族が集う様子を思い描き、小さなお子さまがいらっしゃるNさまご家族の皆が住みやすい家をつくり上げた。
この建築家に1階リビングから大樹状の柱を見上げる。柱から出た梁と三角錐の梁により大きな木のように見える。柱は太く立派で、N邸のシンボルツリーとしてふさわしい。柱が乾燥によって割れるのを防ぐため、あらかじめ背割りをし、その割った部分にも目立たないよう木材を入れた
1階浴室。天井の一部がくり抜かれ、大樹状の柱の頂点が見える。視線が抜けるため空間を広く感じられるのに加え、蒸気も浴室の外に出ていくので冬は加湿の役割も果たす。「大きな木の下で暮らしているということも感じられます」と井上さん
建築中の様子。三角錐とその下の柱など、複雑なつくりをしているため現場で職人が手刻みした木材で作業が進められた。こうした複雑な設計でも、詳細な図面をつくり施工会社に丸投げせず相談しながら進めることで、しっかりとした、よりよいものができあがる
2階、寝室側から子ども室方向を見る。広さがある階段は、家族が交流する場でもある
2階、ステージ状の階段には書棚を設けた。家族の気配が程よく感じられ、落ち着いて読書できる
2階のステージ状の階段から1階を見る。脱衣室や浴室の天井のくり抜き部分から視線が抜け、空間が広く感じられる。蒸気も浴室から上に抜けるため冬は加湿に役立つ。人の目より高い位置から撮影しているためくり抜きがわかるが、普段の生活動線で浴室まわりが見えることはない
1階リビングからその先のウッドデッキまでを見る。ウッドデッキはリビングとフラットに繋げ、また天井を設けたことで、リビングの延長のように感じられる。遊べる家にすべく、垂直方向にも回遊性を持たせたN邸。梯子を上ると子ども室の前に出る
1階、洗面脱衣室。Nさまご家族はお子さまが3人、朝は顔を洗うのも順番待ちで大変とのことからご要望があり、洗面台は2つ設けた。洗面台の間にあるパイプ部分にタオルを掛けられる