"南向き信仰"が根強い日本では、家を建てるとなると、多くの人が当然のように“南向きの大開口”をイメージすると思う。でも、敷地条件や設計の工夫次第では南に大開口を設けなくても、明るさも風通しも申し分のない家が出来る。里山のふもとに佇むU氏邸は、そんな当たり前のことを改めて教えてくれる家でした。
この建築家に【写真】背景の里山と自然に馴染む平屋。屋根の上に乗っかっているように見える部分が、リビングの天井部分。南面ハイサイドから光を取り込み、北向きリビングを明るくしている
【写真】リビングと庭の間に設けた縁側。右側はガラス窓と網戸、左側は網戸と雨戸のみ。室内、屋外どちらとしても使える中間領域的な空間は、子どもたちの格好の遊び場にもなっている
【写真】縁側のアウトサイドの雨戸を閉めると、一気に室内的な空間に。雨戸は木製で造作し、自然素材を使った内装の雰囲気と合わせている
【写真】最大天井高約3m、吹き抜けのような開放感がある勾配天井のリビング。右側の南面ハイサイドに窓を設け、光を取り入れている。「天窓にしてしまうと夏の日射がきつくて大変なので、ハイサイドの窓にしています。窓の外に庇を設けて、秋分、春分を境に冬は直射日光を入れ、夏は直射日光が入らないように工夫しました」と岩川さん
【写真】南側に配置した寝室。目の前が国道を通るため、デッキの壁を高く設けて目隠しに。遠くの里山と空だけが目に入るようにしている
撮影:畑亮