高断熱、高耐震、快適動線、豊富な収納…
「快適な住み心地」を形にした理想の住まい

デザインやアイデアを一方的に提案するのではなく、お施主様と一緒に考え、共に創り上げていく住まいづくりが、「アトリエ住之舎」角野さんの設計スタイル。ご家族の快適な暮らしを大前提に、要望以上の提案をプラスすることで、価値ある住まいを提供。そこには、家族の暮らしの未来設計も含まれている。

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借家住まいの不満をすべて解消!
暮らしやすさを最優先した空間設計

借家で築年数の古い家に住んでいたH様ご家族。夏は暑くて、冬は寒いという「かつての日本家屋」の欠点を強く感じ、決して快適とは言えない暮らしだった。お子さまは、ホコリに敏感な体質で、体調を崩すことも多かったという。そこで、住まいの新築を計画。「どうせ建てるなら、せっかくなので建築家さんに設計してほしい」と、以前から知り合いだった「アトリエ住之舎」の角野さんに相談することに。

建てたい家の要望は、それまでの暮らしで不満に感じていたところを、まずどうにかしたいという思いが一番。そのため夏の暑さや冬の寒さを感じさせず、屋外からのホコリをシャットアウトしてくれる「高断熱・高気密の家」が絶対条件だった。そこで角野さんは、「基礎の周りに断熱材を入れ、躯体には吹付のウレタン断熱材を採用しました」。さらに、外壁の下地には地震や火災に強いダイライトを使うことで気密性も高め、温熱環境等級4(温熱環境の最高等級)相当を実現。また、地震の不安が大きくなっている昨今、これから建てるなら耐震性能にも配慮したいという希望があり、耐震等級3(耐震の最高等級)相当の地震に強い構造設計に。「安心して暮らせる家であることが何よりも大事」と、限りある予算の中で「安心・快適」を最優先しつつ、可能な限りの要望を叶えていったという。

そんなH様邸のコンセプトは、「ブルックリン調のデザイン」「可変性のある間取り」「ライフスタイルに即した快適動線」、さらに「収納充実」。「ブルックリン調というイメージは、奥様がネットなどでかなり勉強され、お子さんが男の子なので男前なデザインに、と希望されました」。クロスのデザインはもとより、木の色合いや照明もブルックリン調にして、インテリアを統一。外観デザインも、黒のガルバリウムとレンガ調のサイディングをモダンにコーディネート。「軒がほぼないので、外壁の耐久性も考えて、外壁材、屋根材にはガルバリウムを採用しました」。

また、キッチンとダイニングテーブルを横並びにしたいとの要望もあり、そのスペースを考慮した直線空間のLDKに。リビングの天井は三角勾配を付けることで、天井高を確保し、より余裕を感じられる空間に。実は、他にも空間の広がりを演出する設計アイデアが生かされている。家に入ってすぐの玄関は天井をやや低めにし、空間が奥へと進むにつれて天井を高くしていくことで開放感を感じられるようにしたという。

生活動線にも工夫を凝らし、キッチンはアイランド風に周囲を回遊できるよう配置。さらに玄関からリビングへ来客を通す窓際の動線と、パントリーを通ってキッチンへ繋がる動線、さらにお子さんが玄関奥のクローゼットで上着を脱いで、そのまま2階へ上がれるように階段へ直接つながる動線の3WAYに。「H様は生活動線のこだわりも強かったので、設計する際に暮らしやすさを追求した動線も意識しました」と角野さん。
  • リビングは勾配を利用した高天井にして、少しでも開放感が広がるようにと配慮。テレビの壁には、植栽などを飾れるようにと吊り棚も造作した

    リビングは勾配を利用した高天井にして、少しでも開放感が広がるようにと配慮。テレビの壁には、植栽などを飾れるようにと吊り棚も造作した

  • キッチンの正面には大きな窓があり、玄関ポーチも見渡せるので、お子さんの帰宅や来客にも気付けるのが安心

    キッチンの正面には大きな窓があり、玄関ポーチも見渡せるので、お子さんの帰宅や来客にも気付けるのが安心

  • 玄関の奥のプライベート動線は、来客中にお子さんが帰宅しても顔を合わせず、気兼ねなく2階へと上がれる。奥に見える明るいスペースは洗面室

    玄関の奥のプライベート動線は、来客中にお子さんが帰宅しても顔を合わせず、気兼ねなく2階へと上がれる。奥に見える明るいスペースは洗面室

  • 3人のお子さんのために、一つの広い空間を、可動間仕切り壁を使うことで3部屋に区切ることができる仕様にした2階の子ども部屋

    3人のお子さんのために、一つの広い空間を、可動間仕切り壁を使うことで3部屋に区切ることができる仕様にした2階の子ども部屋

可変性の高い間取りによって
将来にわたる家族の暮らしを設計

H様ご家族はお子さんが3人。2階はひとつの広い空間を、可動間仕切りで3部屋に区切ることができる仕様に。「分け方のレイアウトはかなり悩みました。面積をできるだけ同じぐらいにして、3部屋のそれぞれの空間の中で机やベッドの配置をイメージしながら、不公平感が出ないように考えました。間仕切りも通常の引き違いだと、戸1枚分は壁になってしまうので、可動間仕切り壁を採用しました」。もちろん、お子さんが独立して3部屋に区切る必要がなくなれば、1部屋や2部屋分にすることもできる。また将来的に二世帯暮らしになる可能性もあると聞き、玄関ポーチの横のスペースをあえて空けておくことで、増築しやすくしている。家族の状況やライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる、将来を見据えた可変性のある空間設計で、「家族の未来の暮らし」にも配慮している。

さらに、用途に合わせて収納スペースを設定。「位置やサイズなど、使い勝手の良さを考えてこちらから提案しました」と角野さん。テレビの壁の上に植栽などを飾れるようにと吊り棚を設置したほか、ダイニング・キッチンの入り口にも棚を造作。「収納スペースはできるだけ多くしてほしい」という要望に叶う玄関ホール横の土間収納やパントリー、ファミリークローゼットも1階に設置。ダイニング・キッチン入り口の棚と、その背面のパントリーは、ちょうど壁の役割も果たすレイアウトになっていて、お客さま動線とプライベート動線を分けている。

そして、洗面室は約4畳半の広々としたスペースを確保。「基本的に洗濯物は室内干しすると聞いていたので、南東・南西に当たる壁にガラス窓を設け、陽当たりをよくしました」と角野さん。洗面室は直接、裏庭にも繋がっており、洗面室や裏庭は午後からでも陽があたるうえ、裏庭は表通りからひと目にもつかないので安心だ。洗面化粧台は既製品ではなく、コストを抑えるために違うメーカーのパーツパーツを仕入れて、大工さんに施工してもらった。そうすることで、同じような設備を一式で購入したときと比べてコストを半額程度に抑えられた。「造作することで、コストを抑えつつ、高級感、使い勝手の良さはしっかり残すことができました」。

お客様からの要望を叶えつつ、プラスアルファの提案を必ず盛り込む設計を行っているという角野さん。「およそ予算内でいけるという目途をたてた状態で、こうすればより広く感じますよとか、こうすればより良い動線になりますよとか、提案しています」。H様邸では、そのプラスアルファが動線と収納だった。「家は“家族が暮らすハコ”。だからこそ、まずは住み心地、使い勝手の良さ、快適さが第一だと思っています」。ご家族の暮らしの未来までを思い描き、長く、快適に暮らせる住まいづくりこそが、角野さんの真骨頂である。
  • 玄関手前から、リビングへ繋がる来客用動線、パントリー&キッチンへ繋がる動線、階段へ繋がるプライベート動線の3WAYで、より暮らしやすく設計された生活動線

    玄関手前から、リビングへ繋がる来客用動線、パントリー&キッチンへ繋がる動線、階段へ繋がるプライベート動線の3WAYで、より暮らしやすく設計された生活動線

  • 陽当たりの良いキッチン前は、玄関からリビングへと繋がる来客用の動線

    陽当たりの良いキッチン前は、玄関からリビングへと繋がる来客用の動線

  • 土間の床から天井までたっぷりと収納できる可動棚。玄関の奥にはファミリークローゼットも配置

    土間の床から天井までたっぷりと収納できる可動棚。玄関の奥にはファミリークローゼットも配置

撮影:アトリエあふろ(古川公元)

基本データ

施主
H邸
所在地
愛知県瀬戸市
家族構成
夫婦+子供3人
敷地面積
305.90㎡
延床面積
121.85㎡
予 算
3000万円台