ご紹介するのは半戸外のような開放感とやわらかな自然光に包まれた、気持ちのよい暮らしがかなう家。ところが、この敷地は南側に隣家が迫る厳しい条件だったそう。ハードルを乗り越え、趣味のアートを楽しめる心地よい住まいをつくり上げた谷山建築設計室の秘策とは?
この建築家に敷地は、東西北が道路に面する角地。建物の背面にあたる南側は隣家が迫り採光を望みにくい。そこで、敷地の南側に広いデッキを設け、デッキに入る光が家中に行きわたるプランで採光を確保。その分、道路面は壁が多くなったが、植栽によっていきいきとした表情を加えている
室内から見た2階のデッキ。住空間に入り込んだ造りになっており、さらに、木製の窓枠は木柱があるだけのようにも見え、内と外の境界があいまいになる不思議な開放感をもたらす。デッキの手前には吹抜けの階段があり、デッキから入る光は1階にも届く
2階のキッチンからダイニング・リビングを見る。キッチンに立つと、絵を飾るためにつくった西の壁がちょうど正面に見えるレイアウト。家事をする奥さまが日常的に絵画鑑賞を楽しめる。ダイニングスペースはガラス扉で仕切ることもでき、冷暖房を効率的に使える
2階のデッキから室内を見る。写真左がリビング、右がダイニング、正面が書斎。3面が大胆なガラス張りで、家のなかとの一体感が高い。夜はフランク・ロイド・ライトのフロアライトなど、こだわりの照明の光がデッキにもやさしく漏れる
撮影:小川重雄