MAKE UP!HOUSE
〜スッピンの家にさよなら〜

「外構(がいこう)」ひとつで、我が家の見た目は見違える! 「外構」とは門や玄関、ポーチ部分などは、住む私にもご近所さんにも大事な、家の顔。しかし、家を建てたり買ったりしたはいいものの、手つかずのことが多い。そう、家はスッピン状態で、ご近所にさらされている!? だったらメイクで輝かせたい!と、設計とデザインのプロ・設計士に依頼した住まいをご紹介。

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まずは設計士に依頼し、”家の顔”の全体設計を

外構は玄関回り、ポーチ、テラス、庭、植え込み、壁、駐車スペースなど、多くの要素を総称している。かつては設計図も不要だったが、最近ではランドスケープとして機能するデザインが必要とされている。
家づくりと並行して外構設計を行う場合もあれば、家の建造後に設計を開始するなどのアプローチがあるが、今回は、住み始めて5年経過した物件の外構について、設計を担当された一級建築士の小池さんに話を聞いた。

まずは玄関回りで目に留まるのは「ぴんころ石」を使い、足下に適度な変化を持たせながら歩いた時に滑りにくい安定感も出しているという点。タイルで落ち着いた感じを出す手法とは対照的に、ごく短い距離の中でお客様を迎える躍動感のある導線づくりを成功させている。
その背景には、周囲から「オープン」な外構というコンセプトがあり、それを設計事務所が手がけることにより先に建てた住宅との間に一体感があるエクステリアになっている。
また、向かって左と右との外構では、異なる雰囲気を持たせながらも全体で見ると統一感が出ているところが、庭師ではなく、設計士がデザインしたことによる美点だろう。


実は左側には地中に配管などがあるために、あまり大掛かりな造作ができないという事情があり、それを理解したうえで植え込み部分を作っている。植物はコンテナポットに入れてあり、季節によって中の植物を植え替えや、配置も変えることができます。また、鉄製のケージに握りこぶし大の石が入った蛇籠(じゃかご、ガビオン)を効果的に使い、単調になりがちな植え込み部分にアクセントを加えている。シンプルに備え付けてあるだけだが、60㎏以上の重さによって、そうそう持ち去られることはないとのこと。

そのほか、建物の中央に視線を遮るためのフェンスが設置されたウッドテラスがあり、そちら側にはウッド風のサーフェスを持った柱が数本立てられ、単調になりがちな住宅の側面にリズムを持たせている。
このように、玄関に向かって左右の外構では個性が異なるが、それが建物と見事に調和しているのには理由がある。
それは家の施工と同じく、デザインが決定されるまでに「模型」作りというプロセスがあるためだ。これはまさに設計事務所ならではのアプローチであり、一般的な外構作りではまず行うことはない。
こうした作り込みには着想から完了までに約3か月を要すが、だからこそ高い完成度なのだと納得させられる部分。

駐車スペースはウッドフェンスで収納とパーキングを分離

家の裏手にある駐車場は施主所有の駐車スペースのため外構も含めた統一感があるデザインが目に留まります。
駐車スペースの後方にあるウッドフェンスは左右に広く、また裏の物置が隠れるよう高さのある設計されているため表からの印象がとてもクリーン。
また、車4台分ものスペースはアウトドアグッズの積み降ろしや来客応対をするのにも心地よい空間が保たれる。
そして、このウッドフェンスには人目につかない隠し扉があり、そのハンドルは同設計のために用意された一点物とのこと。
どこで見つけてくるのか、世界にひとつしかないような細かいパーツを適材適所に使うパーツへのこだわりが建築士の小池氏の持ち味だ

全体デザインはプロの手、メンテは住まい手の「プロ+DIY」

例えば植栽。季節に合わせて種類を変え、剪定をしたり、植え替えしたり、そんな工夫や作業が、どんどん外構を成長させていく。一度手を加えた家の顔は、季節や日々のメンテナンスにも気を配りたい。
今回の事例の場合は、とくに植栽部分を中心に手を入れたい。これから秋、冬へと、草花の彩りがなくなりがちなタイミングで、どう家を見せていくかも工夫のしどころ。

また、紹介した蛇籠(じゃかご)のアクセントには、石ではなくレンガを入れてみるなども面白い。色味や素材感が変わるので、家の外観のトーンによっては中に収めるものを変えてみることも。

こういった作業は自身で作業していくことも可能だ。そのときには、デザインのプロである建築士に相談しながら、いっしょに材料をそろえて手を動かすことがおすすめ。自分では考えつかなかった工夫や、知らなかった素材に出合えることも、プロ+DIYの醍醐味だ。
住まい手が家づくりを進めていく中で、外構まで手がまわらず後回しになるケースは少なくないとのこと。デザインと設計のプロである設計士に、自分のライフスタイルにフィットしたエクステリアを、あとから依頼するという流れは今後、広がりをみせそうな予感。なにより、住むには困らず、ゆっくりじっくり、自身もいっしょに手を動かして作り上げていける、というところが魅力的。

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