建築家が自分の為に建てたローコスト住宅。拘った部分や反省点、そして建築に掛った金額など、普段はあまり聞けない部分も丁寧に説明をして下さる建築家石田摩美子氏。敷地の魅力を最大限に生かすことを心がける石田氏の住まいは、土地探しに1年、条件の厳しい立地に工夫を重ねた拘りの家だ。
この建築家に1Fは大きな窓で3面採光。手前のスペースでギャラリーや工作教室などを行っており、奥は事務所として使用されている。風と光が通り抜ける明るいアトリエスペースでは、様々な講師が行うワークショップや、絵画の個展が開かれ数多くの人が集い多くの笑顔が見られる。
希望エリアに絞って土地を探していたという石田氏。奥行きがある変形の土地は、建築条件が厳しく不動産屋からは3階建てを否定された。1Fの床を下げ、RC造にすることで木造よりも25㎝も床の厚みを少なくすることができる。3Fを使えるスペースにするために熟孝を重ねた。
2Fには寝室と和室がある。和室は将来的に両親が同居する可能性を考慮し、ゲストルームとしても使えるようにしている。和室の壁には安価な桐の木材を使用しているが、柔らかいもので断熱効果が高い。外断熱を諦めた分素材をセレクトすることによって補っているのである。
3Fにはキッチンとルーフテラスがある。「ルーフテラスはもう少し大きいと、より活用することができたかもしれない」と石田氏。都内でありながら心地よい風と光に包まれたテラスは、注文住宅ならではの工夫といえるだろう。