家を建てるときに避けて通れない建築規制。この規制を見事にメリットに変換したのが、『屋根裏リビングの家』だ。イノウエヨシムラシタジオ(IYs.inc)の井上亮さんと吉村明さんのセンスと工夫が光る、楽しさいっぱいの住まいの魅力を探ってみた。
この建築家に2階LDK。最大の天井高は4.7mで開放感たっぷり。空間の中央と壁際で天井高が異なり、キッチン&ダイニング(写真右~手前)、リビング(写真左奥)、畳スペース(写真右奥)は床の段差もある。おかげで、各スペースで異なる居心地を楽しめる
2階LDK。畳スペースからの眺め。天井の頂部付近には対の天窓があり、バランスよく配された窓とともに明るい光を取り込む。天窓はIYsの設計でよく見られるものの1つ。「横から入る光より、上から入る光の方が明るく感じられるように思います」と井上さんと吉村さん
2階LDK。ダイニングからリビング(写真奥)を見る。写真右奥には畳スペースがある。ダイニングからリビングへの通路沿いには、造作カウンターを設けたスタディコーナーを設置(写真左)。お子さまの勉強はもちろん、Tさまご夫妻のテレワークにも使える
2階LDKのスタディコーナーからの眺め。キッチン(写真右奥)~ダイニング(写真右)~リビング(写真左)~畳スペース(写真左奥)は、中央の階段を囲んで回遊できる造り。一体感をキープしつつ、床の段差によって空間をそれとなくゾーニングしている
2階LDKのリビングスペース。壁際の天井はぐっと下がっているが、ソファを置くスペースの天井は高い。ソファの背後には畳スペース、横には窓もあり、こもり感と開放感のバランスがとてもいい。のびやかなのに屋根裏っぽさがあり、大人でもなんだかワクワクする
2階LDK。畳スペースからLDKを見る。畳スペースの下にはたっぷりの床下収納がある。三角天井の頂部付近には白いスチールバーを設置し、屋根を支えている。おかげでこれだけの広さがあるのに柱が不要となり、すっきりと開放的な空間に
2階LDK。三角天井のデザインを引き立たせるために、メインの照明はペンダントなどを使わず、頂部のラインに沿って埋め込んだ。白が基調の内装が照明の光を柔らかく反射する。三角天井を支えるスチールバーは、照明によって影が出ないよう緻密に計算して位置を決めている
階段をのぼったところからリビング(左奥)~畳スペース(右奥)まで、床の段差とともに手すりの高さも変化
2階LDK。床の段差や天井高の変化でメリハリをつけた空間はキッチン&ダイニング(写真奥)、リビング(写真中央手前)、畳スペース(写真左奥)それぞれに異なる居心地を楽しめる。大きなワンルームでも空間の豊かさが生まれ、そこにいる家族の一体感と独立感のバランスが絶妙
撮影:渡邊 聖爾