「必要になれば、作り足せばいい。」これは、そんな暮らし方を選んだ家族のための住宅です。
敷地は東から南にかけて森が広がる旗竿地、冬は陽射しが期待できない手ごわい環境でした。が、バイタリティあふれる彼らは、住む力を全開にして家づくりを始めます。
まず話し合ったのは、ローコストなつくり方について。その方法は、構造や外装、住宅設備等まではプロの手を借り、何もない空っぽな状態を完成させる。その先は自分達で作りながら生活することになりました。
設計が始まると、彼らはいきなりダイニングベンチを作ってきて私たちを驚かせました。しかも2脚、クオリティもなかなか高い。万事この調子で率先して工事にも参加しました。床壁天井となる合板の塗装は週末行事となり、家族総出でペンキ塗り。終わる頃には床下収納を2台と脱衣室収納棚、クローゼットの間仕切り布が完成。こうやって少しずつ、空っぽが住宅になってゆきました。
そして引渡しの日、「ここがはじまりなんです!」と、ご主人が力強く話されました。その言葉通り、彼らは今も作り足しながら暮らしています。