築90年の長屋のリノベーションを手掛けることになったnote architectsの鎌松亮さん。家の裏には清澄庭園があり、そこに長屋が並ぶ風景は、長い間町の人々に愛されてきたという。景観を守りつつ、暮らしやすく、抜群の環境を活かした「家の中にも緑あふれる空間」をつくりあげた。
この建築家に2階、道路側から庭園側を見る。以前は庭園側と道路側で空間が区切られていたが、階段室の壁を取り払って大きなワンルームに変更し、庭園の緑がどこにいても感じられるように計画した。北欧系を意識し、薄く白く塗装した木材を基調としている
2階、キッチンと庭園側リビング。庭園の緑を室内に取り込むため、庭園側のリビングは白く光沢がある床材を選択。キッチンの作業台の人工大理石や、レンジフードにも緑が映り込み、室内は温かな雰囲気
2階キッチン。白く、薄く塗装したシナ合板を用いて背面の収納棚を造作した。キッチンはシステムキッチンを採用したため、雰囲気を合わせるために同じシナ合板を側面に貼った。かわいらしいランプシェードは、ご夫妻が選んだもの
2階、躯体現しとした壁面や天井には白にほんのりと赤を混ぜた塗料を塗り、室内に引き込んだ緑をより鮮やかな印象にしている。画像手前右、1階からの階段部分のすりガラスはリノベーション前も使用されていたもの。「歴史的な建物なので、何か残したいと考えました」と鎌松さん
「素晴らしい環境を思う存分享受できるスペースは絶対に必要」と庭園側のリビングにはベンチを造作。お茶を飲んだり本を読んだり、思い思いにリラックスできる。ベンチにはゆったりした幅があるので、ごろりと寝転んでもいい
2階、庭園側リビング。正面の扉はトイレに続く。2階と3階を繋げる階段は動線を考慮しリフォーム前とは向きを反対にした。階段はスケルトンで計画し、視線の抜けをつくった
2階、道路側リビング。2階の中心に配置されたキッチンから、調理中でもテレビが見られる配置。ご要望を受け、空間のアクセントに磁器質タイルを取り入れた。横向きに並べることが多いタイルを縦向きにデザインして、空間を引き立てている。パネルの裏には断熱材を入れた
撮影:河田弘樹