暮らしも、仕事も、街の人々との交流も充実し、毎日が楽しい。福井啓介さん、森川啓介さんが設計した『HOUSE F』は、そんな新生活がかなう店舗・オフィス併用住宅。人生までぐっと豊かになりそうな、幸せな予感を与えてくれる建築だ。
この建築家に北の前面道路側の外観。鉄骨造3階建ての建物は1階がオフィスとカフェ、2~3階が福井さん一家の住居。淡いベージュグレー、レッドシダーの外壁と、贅沢な植栽が調和するモダンな佇まいが目を引く。画像左側にあるシンボルツリーは、小豆島で育った樹齢70年のオリーブの木
西の外観。敷地は南に隣家が立つ北西角地。建物は北向きになるため、内部に南の光を取り込むテラスを多数配した。テラスは南から北(画像右から左)にかけて徐々に低くなるよう段状に計画され、南の高い位置から入る光が北側まで透過。内部はとても明るく、植物にも光が届く
前面道路に面した北側は、街の人と緑を共有できるよう、たくさんの植物を植えている。植物は適度に視線をカットし、プライバシー確保と街とのつながりを両立させる役割も。白い軒裏は反射する素材を使用。ここに映し出される緑も、実像の植物とはひと味違う美しさで目を楽しませる
1階のオフィスとカフェは、ウッドデッキテラスとひと続きの開放的な空間。緑越しに街の気配を感じられる
1階はかまくらスタジオのオフィスとカフェ。前面道路に面した北側(画像正面)は全面ガラス張りで、街に対してオープンな造り。ウッドデッキテラス周辺は明るく開放的だが、カフェ用のキッチンまわりは少しこもり感もあり、ワンルームでありながらさまざまな居心地を楽しめる
1階はオフィスとカフェだが、ときには一家団らんの場になることも。『HOUSE F』は暮らしと仕事の境界もいい意味で曖昧だ。画像右奥のガラス戸は、東の路地裏に出られる通用口。路地裏で遊ぶ近隣の子どもたちをそれとなく見守ることができ、温かなつながりが生まれる
1階夕景。「暮らしに不可欠なエネルギーや環境に意識を向けるきっかけになれば」と、薪ストーブを設置。薪は千葉の八千代から引き取ってくる間伐材や廃材を用いている。薪ストーブが設置されたグレーのカウンターは屋外まで続き、室内では収納、屋外ではプランターとして活躍
2階。住居のダイニング&キッチン。『HOUSE F』はテラスごとに植栽の性格を変えており、キッチンに近いテラスにはハーブや実のなる植物を植えている。ブルーベリーの時季はお子さまが大喜びで摘んでいたそう
2階。ダイニング上部の吹抜けを介し、3階のスタディスペースにいるお子さまの気配がわかる
2階のリビングスペース。画像右の吹抜け上部は3階にある2つのテラスに挟まれており、頭上から明るい陽光が入ってくる。床や造作家具はチーク材、DIYで塗装した壁はラフに塗っても味わいが出る塗料を使用。天井はヒノキで、全体の質感、色調のバランスがとてもよい
3階のスタディスペース。南(画像右)のハイサイド窓から入る陽光は、スタディスペース前方の吹抜けを通り、2階の住空間や2階テラスの植物にも届く。東(画像奥)には中庭風のテラスもあり、そこかしこから自然光が入ってくる
3階の寝室。画像正面は中庭風のテラス、その先が2階の吹抜け上部。テラスは2つの内部空間に挟まれ、室内にたっぷりの光を届ける。このテラスの植栽は、リラックス効果を期待できるラベンダーやティーツリー。窓を開けると、心地よい風と癒やされる香りが寝室に入ってくる
3階にある中庭風のテラス。室内にいても緑をすぐそこに感じられ、心地よく暮らせる
撮影:Toreal 藤井浩司