松本孝充さんが設計した「浦志の家」は、福岡県美しいまちづくり建築賞で大賞を受賞。街に溶け込む控えめな佇まいだが、設計には秀逸なアイデアと温かな配慮が盛りだくさん。家族の変化に合わせて、永く、気持ちよく暮らせる家づくりのヒントが詰まっている。
この建築家に東の外観。地元の八女杉を使った外壁と塀は、ウッドロングエコという保護剤を塗っている。腐食防止効果を期待でき、深い軒で雨風を避けられる外壁は塗り替えが不要。雨風が直接当たる塀は柱がアルミ製。交換が必要になったら板材だけを変えればOK
南東から見た外観。浦志の家が立つのは往来が多い東の道路(写真右)と南の生活道路(写真左手前)に面した南東角地。以前はご実家の別棟があった場所だ。長く低い軒が道路側をゆったり覆い、ずっと前からここに立っていたかのような控えめな印象となっている
南から玄関まわりを見る。アプローチを進んだ写真奥のガラス戸は、隣地に立つご実家の通用口。浦志の家の玄関はアプローチ奥の写真左手にあり、ご実家との行き来がスムーズ。ゆったりかかった長い軒のおかげで雨の日も身軽に行き来できる
南から庭と浦志の家を見る。写真中央は以前からあった杏の木。写真奥にはLDKの大開口のルーバー建具が見える
玄関を入ると広い土間。写真右手前はシューズボックス。広い土間をこのシューズボックスでゾーニングし、写真奥はお子さまのための「遊べる土間」、手前はちょっとした来客の応対ができる「迎える土間」として使えるようにしている。写真奥を右手に行くとLDK
土間からLDKを見る。南(写真左)の大開口の先にはベンチとひと続きの大きなウッドデッキテラスがあり、室内外の一体感が高い。写真奥はちょっと1人になれる小さな和室。床は杉の無垢フローリング、天井も杉板。どちらも蜜蝋ワックスでナチュラルに仕上げている
LDKから土間(写真奥)を見る。南(写真右)の窓際には、LDKから土間まで続く長いベンチ。腰掛けて団らんしたり、床に座って座面をテーブル代わりに使ったり、テレビを置いたり、座面下の空きスペースに収納ボックスを置いたり……。使い方の汎用性が高い万能ベンチだ
撮影:八代写真事務所