敷地は南に七里ガ浜の海を望む恵まれたロケーション。鎌倉に事務所を構える建築家の工藤宏仁さんはその贅沢な眺望の魅力を、設計の力で最大限に引き出した。耐震性能や土地の課題も見事にクリアし、施主の理想の暮らしをかなえた家づくりとは?
四季の移ろいの素晴らしさを、 海や山や川で遊んだ時の喜びを、 旅先のまちを歩く楽しさを大切にしながら、 風土に根差した新しい建築をつくっていきたい。
建築家の詳細
南の外観。海側の南面には大開口とテラスを設け、外壁はシルバーのガルバリウム鋼板と杉板で明るい色調に。敷地は2段擁壁だったが1段だけ残し、隣地とつながる部分に安全性を高めた新しい擁壁を造成(写真右)。残りは斜面にして緑を植え(写真左)、周囲の景観に馴染ませた
階段をのぼりきって2階に上がると開放感あふれるパノラマビューが現れ、心が弾む。連続窓の先には、鎌倉の町並みと水平線が広がる贅沢な眺め。工藤さんは窓際の天井をあえて低めに設計し、横に広がるパノラマ感を高めている
2階LDKの天井は、連続窓のある南に向かって低くなる勾配天井。海を望む南の天井高をあえて抑えたことで横の広がりが際立ち、景色のパノラマ感がアップ
北の外観。窓が少なく、外壁は黒のガルバリウム鋼板と杉板。南面と対照的な落ち着いた印象に仕上げた。玄関ドアはレッドシダー。玄関、窓まわり、勝手口と駐車場まわりなど、人の動きが生まれる部分に木材を配している
西の外観。南の明るい色調と北のシックな色調の両方が組み合わさり、一見すると2軒の家のような豊かな表情
2階LDKの上部にはロフトもある。寝室は1階にあるが、Sさまの「2階で生活が完結するような間取り」との要望に応え、2階で寝る場合のスペースとして広々したロフトを用意。ここには開くことができる天窓もあり、光や風が気持ちよく通る
2階テラスは写真手前のダイニング側を広く取ってある。天気のよい日にテラスで食事をとるときも、ダイニングやキッチンとの動線がよく料理などをスムーズに運べる
撮影:鳥村鋼一
四季の移ろいの素晴らしさを、 海や山や川で遊んだ時の喜びを、 旅先のまちを歩く楽しさを大切にしながら、 風土に根差した新しい建築をつくっていきたい。
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