県道から坂道を上った小高い住宅地に佇む、落ち着いた雰囲気のL字型の住宅。ここは、みのわ建築設計工房の箕輪裕一郎さんが設計した自邸「大泉寺の家」だ。「二世帯の距離感」をテーマに、自身が生まれ育った家を建て替え二世帯住宅としてプランニング。さて、箕輪さんが導き出したその「距離感」とは。そして、家を設計する際にいつも心がけていることとは──。
この建築家にリビングから見る2階のLDK。キッチンとリビングの間に位置するダイニング空間は、屋根の形状を活かした高い天井が特徴。リビングとキッチンは逆に天井の高さを抑えている
ダイニングから見るリビング。壁も天井も土とスサ入りの漆喰仕上げだが、天井部分は素材の配合やコテの押さえ具合を調整し、やや光沢のある仕上がりに。小学校に面したコーナー窓の下部にはルーバー網戸を設置。外を完全にシャットアウトするのではなく、程よい目隠しとなっている、その“塩梅”が見事だ
ダイニング南面壁に設えた正方形の小窓。庭に植えたカエデが四季折々の彩りを描き出す。あたかも一枚の絵画のようだ
2階主寝室。天井はラワン合板、壁はシナベニア合板。ゴルフ練習場側の南面窓は、寝室なので心地よくお昼寝ができてストレスなく本が読める程度の光がいいという考えから、光の調整とプライバシーを兼ねた横スリット窓に。天井も低めに抑え、落ち着いた空間となっている。寝室の奥には3畳ほどのウォークインクロゼットを配置
撮影:photo@ToLoLo studio