「友人とお酒を楽しむ場所が欲しい」。古希を控えた1人暮らしの施主さまのために建築家の武川正秀さんがつくったのは、暖炉のあるウッドデッキとつながる居心地のよいリビング。地元の自然素材や工芸品を使った心落ち着くしつらえで、友人との憩いの時間にふさわしい穏やかな空間だ。
この建築家に外壁は地元のスギを重ねながら横に張る「下見張り」で仕上げた。武川さんいわく、板を少し重ねて凸凹をつけると柔らかな印象になるのだそう。スギはどこでも手に入る素材で、修繕が必要になったとき、「使用した外壁素材と同じ型番がない」といった事態にならないのがうれしい
ウッドデッキは半分ほど軒がかかった半戸外空間で、第2のリビングとして大活躍。暖炉脇に造作した木製ベンチや丸太の椅子など座るスペースも豊富で、大人数の集まりも楽しめる。床、塀、ベンチはヒノキ。網戸代わりに入れた簾戸はベイマツ。木のぬくもりがあふれる空間だ
リビングの先の大きなウッドデッキはリビングより一段高く、窓際はベンチとしても使える。窓枠は、景色に馴染む木枠を使用。障子、ガラス戸、すだれを入れ込んだ簾戸の3層になっており、断熱効果も高い。戸を壁に引き込んで完全開放すると、屋内外の一体感がますます高まる