建築家の石嶋寿和さんが仕事仲間の家具職人のためにつくったのは、職人が作品を生み出すアトリエであり、親しい人たちをもてなす場でもある「離れ」。来客を迎え入れる門のような外観デザイン、気品と温かみを併せもつ和の空間など、施主さまの思いをくみ取った石嶋さんの家づくりに迫る。
この建築家に左が母屋、右が石嶋さんの設計による離れの『むすひ』。日照に配慮して2つの建物の位置をずらし、『むすひ』は敷地の奥に配置。2つの家は夫婦のように仲良く寄り添って佇む
『むすひ』は、「門のような家」との要望に応え、繊細な縦格子を中央に入れたシンメトリーなデザイン。まさに門そのものといいたくなる佇まいで来客を迎え入れる。苔と石の階段ののぼり口にある鉄のオブジェは、施主の田中さんの友人である鉄作家・小沢敦志さんの作品
4枚の縦格子の引き戸を開けると、正面にカウンターキッチンが現れる。カウンターの中では施主の田中さんが自慢の腕をふるった料理で来客をもてなす。迎え入れてくれるうれしさや高揚感、高級割烹のようなほどよい緊張感が特別な時間を演出する
1階カウンターの右手にある田中さんのアトリエ。幅広の窓は内部を木枠とし、漆喰の白壁と馴染ませた