東京・名古屋を拠点とする女性建築家の謡口志保さん。繊細なやさしさと、施主に「男前」と言わしめるいさぎよさが共存するデザインは、感性豊かな発想から生まれている。建物・空間のみならず、ご家族の快適な暮らしまでを見据えた謡口さんの設計の素晴らしさが詰まっているのが、今回紹介するT様邸だ。
この建築家にRC造の大きなスラブの上に、まるで平屋が乗っているかのような外観スタイルは、謡口さんの「男前」なデザインそのもの。スラブとコンクリート壁のクールなイメージに、玄関の壁の杉板貼りが生み出す温かみが絶妙に調和している
屋根のある駐車場スペースは車2台が余裕で停められ、玄関から奥の仕事部屋までピロティが繋がる広さ。雨の日は、お子さんの遊び場にもなる
コンクリート壁に囲まれた仕事部屋は、住居部分とは独立した離れに。RC造の壁と駐車場スペースの2本の柱が2~3階部分をしっかり支えているため、基礎のコストを抑えられたというメリットもある
木枠、杉板貼りで、引き戸になっている玄関は、防犯性の高い電子錠を採用。杉板貼りの壁の中央は開閉式になっており、開けると網戸に。中間期は、ここを開けることで建物全体の風通しをよくしてくれる
2階リビング・ダイニングからキッチン、3階を見たところ。ハイサイドライトが光をたっぷりと室内に取り入れている
3階のフリースペースはお子さまが友達とここで遊んだり、家族がリビングとして利用したり。正面の吹き抜けの右横からインナーバルコニーへも繋がり、階段との間仕切りを一部空けてより空間の繋がりを表現している
2階のバルコニーは建物の周りをぐるりと回遊できる。建物のサイドでも70~80cmの幅があり、お子さんがよく走り回って遊ぶ大好きな場所のひとつだとか
勾配天井で開放感あふれる2階のリビング・ダイニング。一面の壁にテレビ台や収納棚、お子さんが勉強できるカウンターなどが一体となった家具を造作。リビング・ダイニングには床暖房を入れているため、寒い冬でも快適に過ごせるとか