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木のぬくもりが感じられる家で、のびのびと暮らす

2016年10月20日 ── ・家づくり ── 34290

 家族それぞれの考えや生活に合わせて、じっくりとつくった家。その設計に関わった建築家は、我が家を最もよく知る「おうちのお医者さん」でもありました。

書いた人 茅野小百合

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    作った人 長谷川 紘

    住んでいる人 夫婦+子ども2人

    頼れる「おうちのお医者さん」とすすめる家づくり
    • 【写真】最近つけたデッキでは、ホットプレートパーティを開いたことも。向かって右手の家の奥の方では野菜を育てている。「実家の父が、庭にピザ釜をつくるのが夢だと言っていて。いつか、うちの庭の野菜でピザをつくれたらいいねって言ってます」と奥さま。

    • 【写真】玄関を入るとすぐ、家族がくつろぐ広いLDKに。「リビングとダイニングは分けることもできるんですが、この家はつながった大きな空間が良さそうだった」と長谷川さん。

    • 【写真】富士山が見える方角は大きな窓に。ここから富士山が見えることは、ご家族も気付いていなかった。図面には“富士山可視線”が入っている。

    「コミュニティーとプライバシー」S.シャマイエフ、C.アレクサンダーという本に影響を受けて、夫婦の生活空間と子どもたちのそれを明確に別けた平面計画を何度かこころみてきました。もちろん建て主の生活なので当てはまらない場合もあります。この家では家族生活の中心であるダイニングとリビングは一体となっていて、執拗なまでに子どもと大人を別けてゆくアレクサンダーの計画理論のヒエラルキーは隠れていますが、主寝室とその前室の構成にその片鱗が出ています。(長谷川さんより)

     親類の建て直しで縁があった建築家の長谷川さんに、自宅の設計を依頼することにしたYさんご夫婦。間近で建て直しを見ていたものの、いざ自分たちの家をつくることになると、どんな家を建てたいのか、なかなか言葉にならなかった。

    「キッチンも普通のキッチンと対面式ぐらいしか知らなくて。L字型のキッチンなども見に行ってこうしたいというのも分からないところがあったので、好きなことを言って、先生からご提案いただいた中から気に入ったところをどんどん集めていったというかたちですね。」
    模型を見ながら話をしていくうちに、だんだんと家のイメージをかためていった。

    「面白いなと思ったのが、この模型をのぞいてみてください。ドアから入っていったときの印象とか、この人形が立っているところとかで、結構イメージがわきませんか。こうやって覗き込むことは先生に教えていただいたんですが、この方法で模型を見て良さそうだと思い、実際に入れたところもありました。それで決めたところは思った通り良かったです。」とYさん。

    心惹かれる提案の数々に迷いながらも、LDKはつなげて大きなひとつの部屋に、その部屋とは少し離して寝室を設けて、といった具合に大まかな間取りを決めていった。打ち合わせをすすめるにしたがって、あまり細かく自分たちの希望をいうよりも、信頼して任せた方が全体のバランスが良くなりそうだと気付いたというYさん。途中からはイメージだけを伝え、細かな仕様については長谷川さんに委ねることにしたそう。長谷川さんはしっかりご夫婦の思いを受け止めており、遊び心のあるテラスや富士山が見えるコーナー窓など、次々とハートをつかむ案を提示してくれた。

    「予算があわずに削ったところもありますが、なんとか希望を実現できるように考えてくださって。断念したと言う感覚はないですね。」とYさん。奥さまも「あったらいいなということが全部できた」という。
    実は、完成して既に住んではいるものの、この家はまだ、変わり続けている。外のデッキを取り付けたのは梅雨入り前、天井のシーリングファンは一昨日つけたばかりだとか。「ファンをつける予定はあったのですが、デザインや効果の面で、今一歩、踏ん切りがつかず先延ばしにしていました。でも、去年、一冬過ごしてみて、ファンを使えばもっと暖房の効率が良くなるのではないかと感じて。」とYさん。シーリングファンの取り付けを決めた。奥さまも「こんな自由なペースで進められたのは、建築家との家づくりだったから」とふりかえる。

    家づくりの過程で、長谷川さんなら安心だとの思いを強めたYさんご夫婦は、完成後もなにかと頼りにしているという。「なにか気付いたことがあると、メールでお聞きしたりして。お医者さんみたいな感じです。メールするとすぐきてくださるのでありがたいですね。」と奥さま。長谷川さんによれば、工務店が近所だったことも奏功しているという。
    道路計画の詳細が明かされないため、表の入り口の塀はまだ建てられない。道路ができることは決まっているが具体的には何も知らされていないため、土地の使いかたもなかなか定まらない。それでも、日々の暮らしはある。そんな周囲の環境、家族の変化などもふまえた上で、今できる最もいいかたちは何か。Yさんご夫婦が長谷川さんと導きだした答えが、今のこの家だ。

    • 最近とりつけたばかりのシーリングファン。窓のすぐ下につけられたラジエーターであたためられた空気は、吹き抜けの方へ上がってきてしまう。これを1階のLDKへ戻せれば、冬でも快適だ。

    • 寝室側からLDKへ続く廊下。寝室、洗面浴室、ウォークインクローゼットはそれぞれの間に出入り口があて回遊できるようになっている。お風呂から着替えまでの流れや洗濯などの家事もスムーズだ。

    思い出のレンガで装った、小粋なカウンターキッチン
    • 【写真】バーカウンターのあるキッチンは大人の雰囲気。カウンターが高いので、ダイニングに座っていても手元は見えない。

    • 【写真】梁のところについているのがスピーカー。カウンター下にはハンドバッグを置くスペースも。

    • 【写真】照明やグラスホルダーなど、小物選びもこだわって良いものに。

    • 【写真】キッチンに立ったところ。ダイニングや玄関も視界に入る。正面が大きな窓で、昼間はとても明るい。

    Yさんが模型を見て、あっと驚いたというバーカウンターのあるキッチン。もともと対面式のキッチンを希望していたが、ハイスツールに座るような本格的なバーカウンターにするという発想はもちろんなかった。「ご主人の趣味を伺って、一杯やれるような感じがいいなと思い、普通の対面式のキッチンのカウンターに、本物のバーカウンターを組み合わせました」と長谷川さん。照明やグラスホルダーもつけ、本格的なバー仕様になっている。
    趣きのある壁のレンガは、ご夫婦にとっては特別なもの。「私たちが通っていた大学の校舎がレンガ造りだったんですね。その校舎がすごく好きで結婚式もそこで挙げたんです。校舎と同じレンガにしたくて、問い合わせました。色々あって、似たような別のレンガにしましたが、サンプルでいただいたレンガが4つだけ、記念についています」と奥さま。
    カウンターの上にはスピーカーがついており、BGMをかければ雰囲気のいいバーに早変わり。遊びに来たご友人もお店みたいと一様に驚くそうだ。

    作った人 長谷川 紘

    このカウンターは、本物のバーカウンターと同じかたちに積層材を削りだして、ふちに出っ張りと凹みをつけています。
    レンガの方は、いずれ道路計画が決まったら、外に同じレンガで塀をたててもいいですねと言っていて。図面は用意しています。

    住んでいる人 夫婦+子ども2人

    カウンターって、意外と使わなくて物置になっちゃったりしますよね。それは避けたいとはお話していました。このカウンターはしっかり活躍しています。お店屋さんごっこもできますし、音楽をかけて踊ったこともありますよ。

    季節や気分で、家全体を遊び場にかえて
    • 【写真】ダイニングの窓辺も遊び場になる。フラットな玄関は子どもが走り回っていても安心。

    • 【写真】子ども部屋につづく梯子はキッチン脇に。普段は入り口を閉じてある。

    • 【写真】今はふたりで使っている子ども部屋。最初は平屋を考えていたが、コストが合わず、子ども部屋だけを2階に持ってくることに。屋根裏部屋の秘密基地のような雰囲気になった。左側に写っている大きな窓からはLDKを見下ろすことができ、親子が互いに気配を感じられるようになっている。

    • 遠くまで見渡せるテラス。夏はプールに早変わり。子ども達が朝から「プールで遊びたい」とねだることもしばしば。

    Yさんご夫婦は、家族がLDKに集まるよう、子ども部屋は居心地よくしなくてもいいという考え。まだお子さんも小さかったため、15畳ほどのワンルームをふたりの子ども部屋にした。将来的には仕切れるようになっているが、今はふたりで広々とおもちゃを広げて遊んでいる。しかし、子ども部屋に閉じこもらず、あちこちで夢中になって遊んでいる子どもたちを見ていると、たしかに小さなうちは、子ども部屋は必要ないかもしれないと思える。日射しがあたたかいリビングの隅、テレビの前、リビングを見下ろせる階段の上、水遊びにはもってこいのテラス…。家の至るところに遊び場を発見しては、その場にピッタリの遊びを始める。そんな子どもたちは、大人に新しい楽しみを気付かせてくれることもある。

    作った人 長谷川 紘

    子ども部屋は仮に梯子をつけましたが、もうひとつ階段をつけて入り口をつくれるようにもしています。ドアをつけるために壁を抜けるようにしてあるんです。
    玄関からリビングへは部屋の使いかたや印象を考えてフラットにしましたが、段差がないのでお子さんが走り回っていても転ぶことがなく、安心感もありますね。

    住んでいる人 夫婦+子ども2人

    テラスで水遊びをしているうちに暗くなってしまったことがあって、思いついてそのまま、テラスで夕飯にしたことがありました。そうしたら、とても開放感があって気持ちよくて。なんて、贅沢なんだろうと思いました。テラスは遊び心があって、模型を見たときに「これは絶対ほしい!」と思っていたのですが、本当につくって良かったですね。

    風合いの変化が楽しめる木の家
    • 【写真】寝室も同じカバの床。ドアの向こうのウォークインクローゼットだけ、サクラにした。

    • 【写真】子ども部屋の床はサクラ。あたたかい雰囲気に。

    • 【写真】1階の床はカバ。木のフローリングは優しい風合いで、歩いたときに足にふれる感じが気持ちいい。

    • 【写真】寝室のカバ材の床。

    「いつか家を建てたいね」と、だいぶ前からモデルハウスを見ていたというYさんご夫婦。いくつか見たなかで、最もイメージが近かったのは、木をふんだんに使った輸入住宅だった。話を聞いた長谷川さんは、木のぬくもりを感じられる家をめざし、打ち合わせを進めていった。ご夫婦が選んだ床材は、1階がカバ材、ウォークインクローゼットと子ども部屋だけは、ほんのり赤みがかったサクラ。あたたかみのあるサクラの床は「ちょっと珍しいですよね、家に遊びに来た人にも「この木は何?」と聞かれます。」と奥さま。

    作った人 長谷川 紘

    天井は構造を見せていますので、強度のある樹種に限られますが、木の感じが見えるようにしました。
    フローリングのメンテナンスは、これだけの面積を全面的にやるのは大変でしょう。今回は、よく使うところだけで充分だと思いますよ。

    住んでいる人 夫婦+子ども2人

    あまり白っぽい色が好きではなくて。リビングの床も最初は白っぽかったのですが、だんだん良い色になってきました。傷も、初めは一生懸命、削っていたんですが、際限なく傷つくので、余程でない限りはそのままです。意外に目立ちませんし、それも味だなと。床のメンテナンスは1年に1回ぐらい。ちょうど、どの辺まで手入れをしたらいいか、ご相談しようと思っていたところでした。

    お金について

     だいたいまとまった段階で見積もりをだしてみたら、予算を大幅に越えてしまい、変更を迫られました。値段が高くなった原因は平らな屋根の構造です。この変更を機に、実は、三角の屋根の方がお好みだということも分かり、屋根のかけかたを変更しました。10年ほど前に大阪で手がけた物件では、屋根を平らにしたことで値段が下がったのですが、時代や工務店、地域によって、高くなる要因が違ったんですね。室内は変更せずにすむように何度も図面を書き直して、ほぼ予算に近い金額におさめることができました。

    土 地 : 坪 非公開
    +
    建 物 : 坪 非公開
    +
    設計・管理費 + 諸経費 + 別途付帯工事費
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